気仙沼から、今回の旅の目的地である陸前高田市へ。
この街も、海岸沿いは見るも無残な光景でした。
街がありません。至るとこに収集されたガレキの山があるくらい。
そんな街並みだから、海辺に凛と立った1本の赤松の木は、
すぐに見つけることができます。
近くまで、車では行けないので、松の木の残骸の中を、子供たちと3人で、
歩いていきました。松の木を見ながら、7万本もあった松の木のなかで、
どうしてあの1本だけが、残ったのだろう?残ることができたのだろう?
と、子供たちに問いかけました。
ずいぶん葉が茶色に変色していました。隣にあるユースホステルの建物が、
水没しているので、わかりますが、陸地が大きく削られて、松の木のすぐ近くまで、
海岸線が迫ってきています。
地元の方々がありとあらゆる手段を講じて、この松を守ろうとしています。
それでも松は、塩害を受け苦しんでいるように見えました。
私はこの松の映像を、初めてネットで見た時、心の奥底に、
もうこれで最後やで!最後の1本やで!と通告されたような気持ちが湧きました。
今がよかったらいいとか、自分だけよかったらいいという生き方は、
もうこれで最後にしない!と、叱咤されているかのように。
実際に、現地でこの松を見て、地元の方々が、何としても松を守りたいと、
施した対策や気持ちに触れて、被災された方は、この松に自分たちの復興を願い、
まるで、この松の木が自分たちであるかのように感情移入していると感じました。
神様がくれた唯一の心の支え。最後の1本に自分たちを重ね合わせ、励まされて
歯を食いしばって今を生きている人が、どれだけたくさんいるでしょう。
そんな想いをいろいろ子供たちと話しながら、松の木に向かい3人で手を合わせました。