家を建てる時に使う構造材にとって、どのような乾燥方法で
材木のもっている水分をコントロールするか?がとても重要になってきます。
木を使うとき、含水率ってよく聴きますよね。その名の通り、木の中に水が含まれる割合の
ことなんですが、木の中の水分も自由水と結合水という2種類に分かれています。
伐採した丸太を乾燥させると、まず細胞内腔にある自由水が蒸発します。この自由水が
蒸発した時点で、含水率はおよそ30%。そこから、さらに乾燥を続け、一定の温度、
湿度の条件の中に長時間放置すると最終的に安定する含水率を平衡含水率といい、
自由水が無くなったあと、細胞壁内にある結合水が蒸発を始めます。
結合水が減り始めると木材の性質は変化し始め、収縮を開始し、たわみにくくなるほか、
電気抵抗が増えて電気を通しにくくなります。 そこから、この状態において、空気が乾燥すると
水分を放出 し、湿ってくると吸収するという、天然のエアコンとも言うべき木材の優れた調湿機能
を発揮するに至ります。
日本における平衡含水率は一般に屋外で15%、屋内は12%と言われていますが、 近年はエアコン設備の普及によりさらに低くなる傾向があり、エアコンがきいた部屋では10%を切ることもあります。また、同じ屋内でも床より天井の方が低くなります。
木材の乾燥工程が重視されるのは、木材の含水率 をコントロールするのに欠かせない工程だからです。水分を多く含んだままの木材を使ってしまうと、施工後に膨らんで反ってしまったり、逆に隙間があいてし まったりという現象を引き起こす一因となります。
最近、積層集成材が重宝されているのは、この含水率の管理が容易なこと。
薄い木ほど、乾燥させやすいので、その薄い板を張り合わせて作る積層材は
自然の天日で長時間かけて乾燥させる天然乾燥や水中乾燥に比べると
高温の人工乾燥機に入れて強制的に水分を抜きますので、ずいぶん早く
造ることができます。まさに工業製品なのです。
その分コストも安くなるということで、昨今の普及に拍車がかかっています。
ワタシ的には、時間が掛かっても、自然の気候の中で、乾燥させた材木のほうが
本来、木の持っている養分が残りますので、より強く長持ちすると思っています。
絶対、木のねばりやしなりが違います。人工乾燥材は寸法安定性には優れています。
狂わないし、割れない・木が痩せないなど、素晴らしい部分がありますが、
やはり、高温乾燥されることで、木としては死んでいる状態になるので、
木の粘りが無くなってしまうと思います。短期的には問題ないと思いますが
長期・超長期的に考えると、どこまで、粘って耐えてくれるのか?
疑問があります。私は新築のお家にはできるだけ、無垢の天然乾燥材を
オススメしたいと考えています。