わたしたちがお届けしているもみの木の最も大きな特徴は、柾目材であるということです。
柾目にこだわる理由は大きく2つ。
収縮や変形が少ないため、床材はじめ内装材や建具材に適していることと、もう一つは、何と言っても調湿機能が抜群に優れていることです。
丸太の中心から半径の線に沿って切った板で、年輪の模様が真っ直ぐに現れ、美しい縞模様になるのが柾目です。
それに対し板目は、年輪に対して水平に切った板のことで、年輪の模様が曲線を描くように現れます。
柾目は、板目に比べて反りにくく、収縮に強いのですが、高樹齢の太い丸太でないと取りにくく、丸太全体から30%ほどしか取れないため、価格が高くなります。
もみの木をはじめとする針葉樹は、一般的に調湿量が多いのが特徴です。
木材の細胞が大きく、成長時に多くの水分を必要とするためなのですが、いったん乾燥してしまうと大きく形状が狂うこともなく、多量の水分を給排水してくれます。
住宅の柱一本でも一升瓶一本分の水分を吸ってくれると言われており、内装材に使用した際には、室内湿度をほとんど60%程度に安定して維持してくれます。
柾目と板目の板は、同じ木材から取れるのですが、その機能は大きく違います。その違いを利用したのが、おひつと桶です。
昔の人たちはその違いを知っていて、すし桶やごはんを入れるおひつには、柾目の板を使いました。
それは、水分をよく吸ってくれるので、ごはんがべたつかないからです。
逆に、水を溜めたり、長時間保存したりする桶や樽(たる)には、水や水分を通しにくい板目の板を使いました。
同じ木の板でも、これだけの違いがあり、それを最大限有効活用することが家づくりの基本でもあります。
特に日本の高温多湿の気候条件を考えますと、内装材に多量の水分を吸収してくれる柾目を使うことは、ものすごく理にかなっており、快適に暮らすにはもってこいの材料と言えます。
柾目のモミの床に寝ころんでみるとよく分かりますが、夏場であっても肌がべたつくことがなく、サラっとした触覚が残ります。
歩いていても足の裏がベタベタするということも全くなく、非常に快適な肌触りなんです。
昔から家づくりのなかに、柾目材は浸透していましたが、昨今、日本の林業が衰退の一途をたどるなか、太い大きな丸太が少なくなり、現在植林されている山林もほとんどが戦後の人工林なので、まだ60~70年生くらいの木がほとんどで、柾目を大量に製材するというのにはまだ丸太が細すぎるといういうのが現状です。
そういった理由から、大量に柾目材を確保することができるドイツの自然公園シュバルツバルトで大きく育ったもみの木を採用しているのです。