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森林の中で、動物などの死骸の腐敗臭がほとんどしないのは、なぜでしょう?
これは樹木の発散するフィトンチッド(におい成分)が消臭作用を持っているからなんです。
また、ただ単に消臭作用だけではなく、最近の住宅で問題になっているシックハウス症候群と呼ばれる症状を引き起こす、有害なVOC(揮発性有機化合物)を吸着したり、濃度を低下させる働きがあることが明らかにされています。
合板接着剤などに使われるホルムアルデヒド、塗料の溶剤に使われるキシレン・トリエン、そのほかにも防虫剤や防腐剤などから発散されるVOCなどによって室内環境は汚染されています。目や鼻、のどへの刺激が強く、めまいやのどの痛みを引き起こし、発がん性もあると言われています。
そうした中、スギやモミ、トドマツ葉油は数ppmのホルムアルデヒドを70%以上除去し、ヒノキやヒバの材油でも50%ほどの除去率を示します。
テルペンを主体とした木の香りは、ストレスを解消し、安らぎをもたらす働きやVOCを吸着しその濃度を低減させるほか、抗菌性を有し、室内のカビや細菌の繁殖を抑えたり、ダニの繁殖を抑えたりする働きもあります。
(出典 森と一緒に生きてみる 東京大学名誉教授 谷田貝光克氏)
特殊な換気機能や薬剤に頼らなくても、樹木の持つ自然の力で快適な環境は守れるのです。
日本の暮らしは、昔からそういう木の性質をうまく利用して、受け継がれてきたのです。
このような現代病に対応できるのが、唯一自然の力だけというが、なんとも皮肉なものです。